あなたのそばに音楽。

楽家羽田健太郎さんが今月2日にお亡くなりになり、今日の『題名のない音楽会21』では急遽、追悼特集という形に放送内容が変更されました。
私は、その番組を観ながら、いつの間にか泣いており、「え?私、こんなに羽田さんが好きだったの?」と自分でもびっくりしたくらいなのですが、彼が自身の音楽に対する思いを、気持ちを述べているシーンをみて、「あぁ、だから私はこの番組が好きだったんだなぁ」とあらためて羽田さんの早すぎる訃報に寂しさが込み上げてきました。本当に本当に、彼の語り奏でる音楽が大好きでした。
興味のない時は観ていなかったこの番組も、羽田さんが司会をなさるようになってからは、興味ないものも楽しく、興味あるものは更に楽しく、大好きなものは感動のあまり泣きながら観るくらい、毎回、とても楽しく観られるようになりました。それってきっと、羽田さんのお人柄もさることながら、彼の音楽を心から愛し、楽しむ姿に、ジャンルや知識などの垣根を越えて純粋に音を聴く心地よさを教えられたからだと思います。
まだ言葉も話せない娘が、何気ない日常の物音にリズムを発見し踊っている様子をみると、羽田さんの音楽の楽しみ方は、まさしくそんな感じだったなぁと感じます。真剣に遊ぶ。言葉のボキャブラリーが乏しく、文才もない私には表現しきれないし、この言葉で語りつくせもしないし、これが当てはまっているかも分からないのだけど、幼児の遊びが学びである感じとすごく似ていて、何でも柔軟に吸収し日々積み重なり成長する、いっぱい、いーっぱい遊んで楽しんで。そんな音楽家だったように思います。そして、広くたくさんの人たちに、そういう原点ともいえるべき“音楽”の楽しみ方を思い出させてくれた人でした。「音楽は人生を楽しくしてくれるし、悲しみを半分にしてくれます」(ちょっと違うかもしれなくて恐縮ですが)というようなことを言っておられたのが印象深いです。ラヴェルボレロの演奏に解説されたときなんかは、鳥肌たつくらい笑って泣きました。
心からお悔み申し上げますとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
嬉しいとき、悲しいとき、何でもないときだって。
あなたのそばに音楽を。